業種: 家電/バッグ / 期間: 2026年3月〜7月
背景
Amazonの標準的な広告レポートは、購入の直前にクリックされた広告に売上を100%割り当てます。この方式だと、ブランド名での検索(指名キーワード)が最も効率の良い広告に見えます。一方、最初に商品を知るきっかけになった一般キーワードや商品ターゲティングは、効率が悪く見えます。
「効率が悪いから一般キーワードを削る」という判断は、この見え方に引きずられたものです。それが正しいのかを確かめるために、Amazon Marketing Cloud(AMC)で購入までの接点の順序を追いました。
やったこと
AMCのデータを使い、広告接点を「一般キーワード」「競合商品ターゲティング」「指名・ブランドキーワード」の3種類に分類しました。各接点が新規顧客の獲得にどれだけ寄与しているか、そして購入者が最初にどの接点で商品に触れたかを集計しています。
どうなったか
家電のアカウントでは、購入者の約87%が「一般キーワードか競合キーワードで最初に接触し、その後ブランド名で再訪して購入する」経路をたどっていました。ブランド名だけで購入に至った人はごくわずかです。新規顧客率は一般キーワードが84%と最も高く、一般キーワード経由の購入は接触から1〜4週間かけて成熟していました。
バッグのアカウントでも同じ構造でした。指名キーワードで購入した80件のうち56%は、最初の接点が商品ターゲティングか一般キーワードです。新規顧客の獲得効率(新規顧客売上÷広告費)は、一般キーワードで3.2倍、商品ターゲティングで3.9倍と、いずれも広告費を上回っていました。
学び
指名キーワードは新規客を一から集めているのではなく、他の接点で商品を知った人を最後に刈り取る役割です。一般キーワードは短期の効率だけ見ると過小評価されますが、実際には新規顧客との出会いを生む入口になっています。
この構造が分かると、運用の判断が変わります。一般キーワードは効率の数字が高めに出ても維持し、入札と予算配分で調整します。指名キーワードは刈り取り役として効率重視で運用します。効率の数字だけで一般キーワードを削ると、新規客との出会い自体を減らすことになります。
留保
AMCが示すのは接点間の相関で、因果を証明するものではありません。もともと購入意欲の高い人が複数の接点に触れただけ、という可能性は残ります。予算配分の本格的な変更は、セール期などで再現性を確認したうえで判断しています。
この施策は、Amazon運用代行サービスの一環として実行したものです。サービス内容と料金はこちらで公開しています。

