【AMC分析】転換率の低い商品を止めなかった理由。その広告に触れた人は、他の商品を2.11倍買っていた

業種: 玩具 / 期間: 2026年7月

この事例の要点

課題 広告からの流入は最も多いのに、転換率1.87%、ACoS(広告費÷広告経由売上)60〜100%で停止候補になっている商品がありました。

施策 Amazon Marketing Cloud(AMC)で、この商品の広告に接触した人と接触していない人の、他商品の購入率を比べました。

結果 接触した人の他商品購入率は2.11倍(統計的に有意)で、停止せずに広告を続けました。

背景

商品ラインナップの中に、広告からの流入は最も多いのに、転換率が1.87%と低い商品がありました。広告単体のACoSは60〜100%で、数字だけ見れば停止か大幅減額の候補です。

ただしこの商品はシリーズの中で最初に目に留まりやすく、ここから他の商品に興味が広がっている可能性がありました。

やったこと

Amazon Marketing Cloud(AMC)で、この商品の広告に接触した人と、他商品の広告には接触したがこの商品には接触していない人を比較しました。両者とも広告に反応した層なので、購入意欲の水準を揃えた比較になります。

どうなったか

この商品の広告に接触した126,943人のうち、他商品を購入したのは87人で購入率0.0685%。接触していない86,121人では28人で0.0325%でした。接触者の購入率は2.11倍で、統計的に有意です(p値0.001未満、95%信頼区間1.38〜3.23倍)。

両者の購入率が同じであれば他商品の購入者は41人だったはずで、差分の約46人が接触に伴う上乗せです。この商品は自身の販売効率とは別に、他商品への入口として機能していました。広告経由の直接売上だけで評価すると、この貢献は数字に表れません。

判断

このキャンペーンは停止も大幅減額もしませんでした。同時に、取りこぼしを拾う役割のキャンペーン(ACoS 6〜13%)については、数字は良くてもメインの広告が生んだ需要を最後に拾う構造で生じている効率なので、増額しても比例して伸びないと判断し、現行規模を維持しています。

プライムデー後も売上が落ちなかった

同じ月のプライムデーでは、期間中の売上が直前の同期間の3.8倍になりました。値引きは主要商品で10〜15%です。特徴的なのはその後で、定価に戻した翌々週の売上がプライムデー期間を上回りました。前年同週比は6月の45%から119%へ改善しています。

プライムデーで伸びた上位3商品のうち、広告が配信されていたのは1商品だけでした。需要が実証済みでありながら広告が届いていない商品が、8月のピークに向けた最大の伸びしろとして残っています。

学び

商品ごとのACoSは、その商品が「入口」なのか「刈り取り」なのかによって意味が変わります。入口商品のACoSを他と同じ基準で評価すると、ラインナップ全体の集客を止めてしまいます。

留保

分析期間は値引きと重なっており、広告の効果と価格の効果を完全には分離できていません。2.11倍がこの商品単独の寄与と断定できる段階ではなく、9月の平常需要期に再検証する予定です。

この記事を書いた人

Bluegoose