【広告運用】広告費を最大1.9倍にしても総売上が横ばいだった商品群を、どう見抜いたか

業種: 家電 / 期間: 2026年8月

この事例の要点

課題 ACoS(広告費÷広告経由売上)は、広告がなくても売れていた分まで広告の成果として数えてしまいます。

施策 広告を再編した3つの商品群について、広告費を増やした週に広告以外の売上がどう動いたかを週次で追い、増分ROAS(増えた総売上÷増えた広告費)を出しました。

結果 1つの商品群は広告費を増やしても総売上がほぼ横ばいで、増分ROASは1.1倍にとどまりました。

背景

8月に広告を再編し、3つの商品群(以下、A群・B群・C群)に分けて再稼働しました。週次で各群の数字を追ったところ、広告費の増減に総売上が連動する群と、しない群があることが分かりました。

見方を変えた

広告の評価でよく使われるのはACoS(広告費÷広告経由売上)です。ただしACoSは「広告がなくても売れていた分」を広告の成果として数えてしまいます。

そこで「広告費を増やした週に、広告以外の売上がどう動いたか」を見ました。広告費が増えたぶん総売上が増えていれば広告が上乗せになっています。広告以外の売上が減っていれば、広告が自然売上を置き換えているだけです。これを増分ROAS(増えた広告費に対して増えた総売上)として計算しました。

どうなったか

A群は、4週間で総売上が41%増、広告を除いた自然流入も35%増でした。ただし広告を再稼働した週は広告以外の売上が約15%減っており、一部は置き換えです。増分ROASは1.9〜3.1倍でした。

B群は総売上が54%増、販売個数が2倍を超えました。増分ROASは2.0倍です。ただし広告以外の閲覧数がピークアウトし始めており、置き換えの兆候が出ています。

C群は違いました。広告費を週ごとに1倍、1.8倍、1.9倍、0.75倍と動かしたのに、総売上は1倍、1.06倍、1.24倍、1.0倍とほぼ横ばいです。広告費を最大にした週は、広告以外の売上が半減していました。増分ROASは1.1倍で、粗利を考えると追加分は回収できていません。

原因を掘ると、この群のスポンサーディスプレイ広告(Sponsored Display)がACoS 540%、クリック率0.043%で、群の広告費の3〜4割を占めていました。認知目的の配信とはいえ、同期間の総売上が横ばいである以上、間接効果も確認できません。停止か日予算を3分の1に縮小することを提案しました。

もう一つの発見

A群のある商品は、広告で閲覧数が4,435回から8,506回へ倍増したのに、販売個数は76から81と横ばいでした。転換率は1.71%から0.95%へ半減しています。この商品は広告を増やす前に、価格や画像、レビューの見直しが先です。

学び

広告費と総売上が連動しない商品群では、ACoSがどれだけ良くても広告は上乗せになっていません。群ごとに増分ROASを見ると、予算を移すべき先が分かります。

留保

C群は検索順位のデータが未取得で、順位低下によるものか市場の縮小によるものかの切り分けができていません。順位の計測を開始しています。

この記事を書いた人

Bluegoose