Amazonリテールビジネスでの販売価格

Amazonのリテール部門と取引をしているベンダーの方々なら、Amazonが販売する自社商品の販売価格について悩みを抱えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

メーカーとしては利益率を高く保つため、可能な限り値下げ競争になるような事態は避けたいものです。特にAmazonはその影響力が強いため、多店舗よりも高く販売して欲しいという場合もときにはあるかもしれません。

しかし、独占禁止法では下記のような解釈となっており、メーカーが小売店の販売価格を決定することは禁止されています。

Q12 メーカーが,販売店の販売価格を指定し,守らない場合に取引を停止することは,独占禁止法に違反しますか。また,新聞や書籍などは定価販売されていますが,これは独占禁止法上問題にならないのですか。
A. 小売業者等に自社商品の販売価格を指示し,これを守らせることを再販売価格維持行為といいます。再販売価格維持行為は,競争手段の重要な要素である価格を拘束するため,原則として禁止されています。また,指定した価格で販売させるために,これに従わない小売業者に経済上の不利益を課したり,出荷を停止することも禁じられています。ただし,著作物(書籍,雑誌,新聞,音楽用CD,音楽テープ及びレコード盤の6品目)については,例外的に独占禁止法の適用が除外されています。これを著作物再販適用除外制度といいます。

すでにリアル店舗との取引で、大手の家電量販店やドラッグストアなどのディスカウント系販売店と取引をされている場合、ボリュームディスカウントなどで大量に仕入れてもらう代わりに安い仕入れ値で卸していることもあるかと思います。

メーカーとしての事情は各社によって様々とは思いますが、Amazonでの販売価格がそのようなディスカウントストアなどと同価格やそれ以下になった場合、関係各社への火消し対応などに追われることもあるでしょう。

インターネットの特性上、いつでも誰でもその情報を閲覧できるECサイトでは、その価格比較も容易なため、最安値の店舗に顧客が流れやすい傾向にあります。
もしAmazonでの販売価格が最安値級となった場合、Amazonサイトの利便性もあり、多くの顧客がAmazonに流れていきます。

メーカーとしての立場上、取引先である様々な小売店との関係性から、そのような状況は避けたいと思うメーカーも多いのではないでしょうか。

結論としては、小売店の販売価格を完全にコントロールすることは不可能だと思います。
法律上の問題もありますが、小売店には小売店の課題があり、例えば想定以上に商品が売れなければ返品するか安売りするしかありません。
しかし、ブルーグースではこの点をもっと根本的な課題から解決できるのではないかと考えています。

生産量(在庫)

1つ目は生産量(在庫)の問題です。これは非常に難しい問題だということは重々承知のうえですが、あえて書かせていただきます。需要予測をしっかり行いましょうということなのですが、様々な分野でIT化が進んでおり、その予測精度は日進月歩で向上しているかと思います。

例えば新規商品を販売する場合、市場動向や競合他社の類似商品、また自社の類似商品などの過去の売上実績を分析することで、現実的な需要の予測を立てられるのではないでしょうか。

その際、類似商品等をどの程度割引価格で販売したかなどもデータとして考慮すべきです。

割引をすることで、「あまり必要ではないけど安いから買ってみようかな」という動機の顧客にも販売する可能性が増えます。それは本来的な需要の絶対数ではないのではないかもしれません。

大量生産することでコストが下がることもまた重々理解しているつもりではおりますが、結果的に在庫を余らせて安売りするというのは、なにやら本末転倒なようにも感じられます。

また、AmazonのベンダーセントラルではARAベーシックとARAプレミアム(ベンダーセントラル「レポート」メニューの「Amazon販売分析レポート」をクリック)というデータ分析ツールも提供されており、Amazonリテール部門との取引のあるベンダーであればこのツールを活用することでも様々な分析が可能となります。

※ARAにつては別の機会にまた記事を書かせていただきます。
↓ARAについての記事を書きました。

商品の魅力発信

2つ目は商品の魅力発信についてです。
顧客が商品の購入を決断する際のポイントは価格だけではありません。
仮に競合メーカーの商品の方が安く売られていたとしても、自社商品を購入してくれる顧客もいます。

なぜそのようなことが起こるのか。そこには様々な要因があると思いますが、簡単にいえば(当たり前ですが)顧客がその商品を気に入ったから購入したということです。

ではどのようなポイントで顧客がその商品を気に入るのか。ブランディングという言葉もありますが、そのブランドに愛着があるというのも1つの要因でしょう。
その他のポイントがあるとすれば、デザインがいい、壊れにくそう、コスパがよさそう、信頼できる、などなど、「どのような商品なのか」を顧客なりに判断しているということです。

そして、そのような情報を得るには、商品ページ上でその情報を得るしかありません。
リアル店舗であれば実物を見てある程度判断できますが、Amazonを含むECサイトでは直接手に取ることができません。

ですので、商品を手に取って見るのと同じくらいの情報を掲載しなければ、あとは価格で判断されてしまいます。

商品の画像は顧客が気になる視点から撮影されているでしょうか。
商品説明は押し売り的になっていないでしょうか。
カスタマーレビューが投稿されていないのであれば、それに代わる生の声をアンケートなどで収集し、その情報を商品説明に掲載してもいいかもしれません。

商品が売れなくなってくるとどうしても割引きしたくなってしまいますが、それをどうにか別の方法で解決できないかと考えたとき、商品情報を充実させることは1つの大きな解決策になり得ると思います。

そこにはメーカーの中の人でなければできない、魅力的な情報に満ちたコンテンツとなるはずです。

Webマーケティングにご興味のある方であれば。コンテンツマーケティングという言葉を見たことがある人もいるかもしれません。

コンテンツマーケティングとは、Webサイト上に潜在顧客が必要としている情報を掲載することで、GoogleやSNSなどからの自社サイトへの集客数を伸ばそうというマーケティング施策です。

その手法はとても強力な集客方法だと思いますが、メーカーサイトでは商品こそが最大のコンテンツです。その商品のページが充実していなければどれだけ集客しても商品の魅力を顧客に伝えることはできません。

魅力的な商品情報をメーカーサイトやAmazon、その他ECサイト等に掲載してその商品を本当に必要としている人に購入していただくことで、無理のある割引での価格競争の激化を食い止められるのではないでしょうか。

もし、魅力的な商品情報の制作方法が分からないという方がいらっしゃいましたら、ブルーグースでの制作も可能ですのお問い合わせいただけますと幸いです。
Amazonリテールベンダーサポートというサービスも提供しています。